生活習慣病 lifestyle related
主な生活習慣病
- 高血圧
- 脂質異常症
- 糖尿病
- 高尿酸血症/痛風
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)など
高血圧
高血圧は、心臓から各器官へ向けて血液が送られる際に血管壁にかかる圧力が高くなる病気です。血圧のなかには、心臓が収縮して血液を送り出す際にかかる「収縮期血圧(最高血圧)」と、次の血液を送り出せるようにするために心臓を拡張して血液を溜め込んでいるときの「拡張期血圧(最低血圧)」があります。高血圧症とは診察室測定で収縮期血圧が140mmHg以上、あるいは拡張期血圧が90mmHg以上であれば高血圧症と診断されます。
高血圧症は大きく分けて本態性高血圧と二次性高血圧の2つに分けられます。原因を特定できない高血圧は本態性高血圧とされ、遺伝やさまざまな生活習慣の要因が重なって起こります。高血圧は生活習慣病の一つとされています。二次性高血圧は腎性、腎血管性、内分泌性(甲状腺、副腎性)、睡眠時無呼吸症候群など原因で血圧が高くなるものです。適切に診断、治療をすることで、高血圧の治癒が期待できます。
高血圧になっても、初期の段階ではほとんど自覚症状がみられません。そのため、健康診断で高血圧を指摘されても、放置のままにしている方がいらっしゃいます。しかし、高血圧の状態になると血液を心臓から送り出す際に負荷をかけなくてはならず、だんだんと動脈硬化につながるようになります。さらに病状が進行すると、脳卒中や狭心症、心筋梗塞、心不全などの原因ともなりますので、早めにご相談ください。
脂質異常症
私たちの血液中には、様々な脂質が含まれています。このうち、LDL(悪玉)コレステロールやトリグリセライド(中性脂肪)の数値が異常に高い、あるいはHDL(善玉)コレステロールの数値が異常に低いときは「脂質異常症」と診断されます。診断基準につきましては、LDLコレステロールの数値が140mg/dL以上(高LDLコレステロール血症)、トリグリセライド(中性脂肪)の数値が150 mg/dL以上(高トリグリセライド血症)、HDLコレステロールの数値が40mg/dL未満(低HDLコレステロール血症)となっています。
なお、この3タイプのいずれであっても、初期の段階ではほとんど自覚症状が現れません。放置すれば、コレステロールが血管に蓄積するなどして動脈硬化が促進するようになります。その後、血管内が狭窄・閉塞して血流が悪化すると、心筋梗塞や脳梗塞などを発症することもあります。これらの疾患は、脂質をコントロールすることで、予防が可能です。早めにご相談ください。
糖尿病
糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が慢性的に基準値を超えてしまう病気です。血液中のブドウ糖は、細胞に取り込まれることで脳や体のエネルギー源となります。その際には。膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが、血液中のブドウ糖を細胞の中に取り入れる役割を果たしています。糖尿病になると、このインスリンが分泌されない、あるいは分泌しても効きが悪い状態になります。
そのため、ブドウ糖が細胞に行き渡らず、血液中の血糖値が高くなってしまうのです。血糖が高いということは、体の細胞にエネルギーであるブドウ糖が十分に補給されず、そのため全身の細胞の働きが悪くなります。のどが渇く、尿が多い、傷が治りにくい、感染症にかかりやすい、疲れやすい、集中できないなどの症状が表れます。なお、糖尿病には1型糖尿病や2型糖尿病などの種類があります。
このうち1型糖尿病は、主に自己免疫疾患によって膵臓のβ細胞が破壊されてしまい、インスリンがほぼ分泌されない状態になります。この状態を是正するため、インスリンを定期的に補充する治療が必要になります。一方、2型糖尿病は、日本人の全糖尿病患者さまの9割以上を占めるタイプであり、不摂生な生活習慣などで起こりやすくなります。初期の段階ならば、インスリンの分泌を促進するお薬などを使って治療しますが、悪化してしまったときは、1型糖尿病と同じようにインスリン治療が必要になります。
糖尿病は全身の血管の老化のスピードがとても速くなり心筋梗塞、脳卒中、足壊疽、透析、失明といった健康寿命を著しく損なう合併症を引き起こします。近年では認知症との関連も明らかになってきました。
検査は血糖管理が適切に行われているかを血糖値とグリコヘモグロビン(HbA1c)を測定することによって行います。HbA1cは過去1、2ヶ月間の平均血糖値を反映しており糖尿病の診断に用いられます。HbA1cは7%未満で過ごすことができれば合併症を起こす可能性は低くなることが分かっているのでこの値が治療の目標ですが、65歳以上の高齢患者さまについては低血糖を引き起こす可能性もありますので、その方にあった血糖コントロールを行います。
高尿酸血症/痛風
血液中に含まれる尿酸の濃度のことを「尿酸値」といいます。高尿酸血症は、文字通り尿酸値が高くなる病気です。この場合は血液検査を行い、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えているときに診断されます。ただし、尿酸値が高くなっているだけでは自覚症状がみられないことも多いので、そのまま放置されている患者さまもいらっしゃいます。しかし、尿酸は水に溶けにくい性質があるので、尿酸が血液中で必要以上に増えると針状の尿酸塩が作られ、やがて足の親指の付け根など関節に溜まっていきます。これにより、ある日突然、患部に急激な強い痛みと炎症を伴う「痛風」が起こることがあります。そのような事態に陥らないよう、早めに受診ください。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、従来、肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれてきた病気の総称です。タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患であり、喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病と言えます。
歩行時や階段昇降など、身体を動かした時に息切れを感じる労作時呼吸困難や慢性の咳や痰が特徴的な症状です。喘鳴や発作性呼吸困難など喘息の様な症状を合併する場合もあります。病状が悪化すると、酸素療法が必要になります。